企業がSEO対策を実施することの目的は、検索サービスを通じてビジネスを成長させることです。
正しいSEO対策の方法は、「設計」「技術」「マーケティング」などあらゆる側面からサイトを改善することを通じて、Webサイトが検索結果でより多くの露出を得ることをマネジメントすること。
SEO対策の特徴として、広告と異なりアクセスを獲得することに直接的な費用がかからないことから、Webサイトに多くのアクセスを集めたい商用メディアにおいては必須の取り組みであることがほとんどです。
しかし検索からアクセスを増やすための上位表示の手法を突き詰めていくと、本質的な最適化施策だけではなく、上位表示を実現するためだけのテクニックに行きつくこともあります。
こうしたテクニック(上位表示を実現することだけを考えた施策)こそがSEO対策である、とした認識を多くの方が持たれているのが現状です。
これは「ブラックハットSEO」と呼ばれます。
ブラックハットSEOとは、検索エンジンの評価ロジックの意図に反して(システムの穴を突くやり方で)、検索エンジンを欺いて価値のあるサイトと見せかけるやり方です。
過去、上位表示に極めて有効な手法であっても、現時点で”システムの穴”は大幅に狭くなっており、ブラックハットSEOの”偽装工作”(例えば業者からリンクを買って上位表示しようとする方法)は、今では通用しません。
Googleに、見つからないように偽装をするためのコストは上昇する一方で得られるリターンは限りなく小さくなっています。
SEOの際はGoogleだけ想定すればOK
検索結果で上位表示させるためには、どのようにして順位が決まるのかを知る必要があります。
SEOについて考える場合、Googleだけを想定して対策すればOKです。
日本における検索エンジンのシェアは、GoogleとYahoo!を合わせると約95%となります。
そして、Yahoo!はGoogleの検索エンジンを利用しているのです。
参考 : Google Japan Blog: Yahoo! JAPAN のより良い検索と広告サービスのために
Yahoo!の場合には
- Yahoo!知恵袋
- Yahoo!オークション
などYahoo!ならではのサービスが導入されているため、厳密には検索結果は全く同じとはなりませんが、利用している検索エンジンはGoogleのものなので、SEOの際にはGoogleだけ考えればOKです。
ブラックハットSEOとホワイトハットSEO
Googleの検索順位のアルゴリズムを解明し、不正に順位をあげようとする手法が出てきました。
これがブラックハットSEOです。
ブラックハットSEOは見つかれば検索エンジンからペナルティを受けてしまいます。
反対に、ホワイトハットSEOとは、Googleのアルゴリズムやガイドラインに沿ってウェブサイトを構築することです。
つまりGoogleが定めた”法”を破らずにコンテンツをプロモーションして上位表示を目指す戦略です。
ブラックハットSEOとは
ブラックハットSEOは、Googleのアルゴリズムの穴を突いて不正に検索順位を上昇させるための手法です。
Googleのガイドラインの全ての項目に共通するのは「ユーザーにとって有益かどうか」です。
検索エンジンの精度が低かった時代は、抜け穴が多く、そこを狙ったブラックハットSEOが有効で横行していました。
しかし検索エンジンの改良が進んだ現在はそれらの手法のほとんどが無効化、あるいはペナルティの対象となりました。
ブラックハットSEOについて、外部要因(リンク)と内部要因(サイト内)に分けてご紹介します。
外的要因(リンク)に関するブラックハット
有料リンク(自作自演リンク)
リンク購入や自作自演で意図的に被リンク数を増やす手法です。
検索順位を決定するアルゴリズムでは、被リンク(他社サイトから自社サイトへ張られているリンク)は重要な判断基準です。
「他社サイトで紹介されている=良質なページ」であり、被リンク数が多ければ多いほど価値のあるページであるという理論に基づいて導入されたアルゴリズムです。
しかし、被リンクを購入し自作自演リンクを大量に増やすという本来の意図とはかけ離れたSEOが横行する要因となってしまいました。
現在も被リンク数は検索順位を決定する上での重要な指標ですが、自作自演リンクに対するペナルティが強化されており、非常にリスクの高い手法です。
相互リンク集(リンクファーム)
あるサイトに、自社サイトを登録すれば、そのサイトに登録されている全ての他社サイトからの被リンクが得られる(その代わり自社サイトにも他サイトのリンクを設置する)仕組みです。
こちらも被リンクを増やす目的で横行した手法です。
SEO業者がリンクを大量に獲得するために利用していた他、Web担当者自らが手軽に被リンクを得られる場所としても利用していました。
このようなリンクファームは、Googleガイドラインで禁止しています。
ブログパーツへのリンク設置
ブログ・パーツにリンクを仕込み、無料配布することで、設置されたブログからのリンクを獲得する手法です。
時計やミニゲームなど多種多様なブログ・パーツが無料で配布されており、自身のブログを気軽に装飾できるアイテムとして人気を得ていました。
しかしブログパーツの利用者にはリンクが設置されていることがわからないように配布される場合が多く、ブログ管理者の意図しないところで勝手に被リンクを提供していることになります。
Googleは外部ページからの評価基準として外部リンクを参考にしているため、本来のリンク獲得方法とは大きくかけ離れた手法です。
そのような隠しリンクも違反にあたるので、ペナルティ対象となっています。
内的要因(ページ内)におけるブラックハット手法
隠しテキスト
テキストを背景と同じ色にしたり文字を極端に小さくするなどして、ユーザーに読み取られないようにしつつ、検索エンジンには読み取れるようにする手法です。
対策キーワードの含有率を上げたいけれど、あまりキーワードを入れ過ぎるとコンテンツ内容が不自然になってしまうからということで利用されていた手法です。
「ユーザーが得る情報」と「検索エンジンが得る情報」に相違が出ると、検索エンジン側で正常な判断ができないためガイドラインでの規制対象となっています。
ワードサラダ
ワードサラダは特定のキーワードを含む自動生成された文章を指します。
Web担当者がテキスト作成の手間を省略するため、対策キーワードを登録しそれを含むテキストを専用ツールに自動生成させて被リンク用のホームページに設置するということが行われていました。
自動生成された文章は、人間が読むと支離滅裂なものが多く、検索エンジンの精度が上がってからはスパムリンクとして判断されるようになりました。
ワードサラダを大量に含むホームページからのリンクはペナルティの対象となりました。
コピーコンテンツ
コピーコンテンツとは、ページをコピーして別のURLで公開するスパムです。
引用タグなどを用いて明確に引用の範囲を明示すれば問題はありません。
ホワイトハットSEOとは
ホワイトハットSEOとは検索エンジンのガイドラインに沿う形で、ウェブサイトの技術面・コンテンツ面を最適化すること、またはその手法です。
Googleが公開している「検索エンジン最適化スターターガイド」や、「ウェブマスター向けガイドライン(品質に関するガイドライン)」で推奨されているような形で行われるSEOを指します。
検索エンジンサービスのルールに逆らわずに、ウェブサイトに訪れたユーザーに対して役立つ情報を提供するサイト運営やSEOを実施します。
ホワイトハットSEOの手段
ホワイトハットSEOについてどのような手段があるのか、具体的に確認していきましょう。
Google ガイドラインに準拠
Google ガイドラインとは、Googleがウェブサイトの品質評価を行う際の指針となるものです。
ガイドラインの内容は一般に公開されており、アルゴリズムアップデートがあると更新されていきます。
Google Generalガイドラインの構成は大きく3つ。
「品質評価のガイドライン」
「評価の基準と適用される範囲」
「最新の更新内容」
となります。
SEO対策する上で、Google Generalガイドラインを遵守することは重要です。
破ればペナルティが課せられたり、上位表示できなくなったりする恐れがあります。
良質なコンテンツを作る
ホワイトハットSEOで重要なのはコンテンツ自体の品質が高いことです。
良質なコンテンツであれば検索エンジンに評価され、自然と順位も上がります。
では良質なコンテンツとは具体的にどんなものでしょうか。
まず、文字数が多いことです。
文字数が多いからといって必ずしも品質が高いわけではありませんが、上位表示されているコンテンツをチェックしてみると文字数が多い傾向にあることも事実です。
また古いコンテンツをアップデートすることも重要です。
情報には鮮度があり、時がたつにつれて誤りが出てきたり不十分になったりします。
もちろん新しいコンテンツを作成して全体量を増やすことも大事ですが、すでに検索エンジンから一定の評価を受けており被リンクも獲得している過去のコンテンツに手を加えて、メンテナンスすることも忘れてはいけません。
また、Googleがコンテンツを高く評価する基準の一つに権威性があります。
コンテンツの作成に専門家が関わっている場合は、権威性を示すためにもプロフィールをしっかりと掲載することが重要です。
クローラー対策
Google Generalガイドラインを遵守し、良質なコンテンツを作っても、クローラーが巡回し、そのサイト価値が検索エンジンに伝わらないと検索順位は向上しません。
しっかりとクローラー対策を行う必要があります。
まず実施したいのがほかのサイトからリンクされること、いわゆる「被リンク」を得ることです。
リンクには自然に獲得できるものと、意図的に獲得するものの2つがあります。
リンクを自然に獲得するためには正攻法しかありません。
ほかのサイトがリンクしたくなるような良質なコンテンツを作成し、SNSなどを通して認知度を広げてリンクを獲得します。
一方で意図的にリンクを獲得する方法はブラックハットSEOとみなされるものが多いのでリスクを伴います。
自然な獲得を目指しましょう。
ホワイトハットSEO からブラックハットSEOへ
検索エンジンにとっていわゆるブラックハットSEOは「ユーザーにとって低質なコンテンツを上位表示させようとする、検索エンジン自体の価値を毀損する行為」であり、厳しく取り締まられています。
また「ブラックハットSEOを故意に行っている運営者である」と一度Googleから認識されてしまうと、ドメインやサイト自体の評価が致命的に損なわれ、どれほど順当な取り組みをしても検索順位が改善しないといった事態に陥ることもありえます。
なぜGoogleは、これほどまでにユーザー第一に考え、日々検索エンジンの改良に邁進することができるのでしょうか。
Googleは検索エンジン上で提供する広告の売上が、自社収益のほとんどを占めているため、検索エンジン自体がユーザーに利用されるものでなければビジネスが成り立ちません。
Googleは常に「ユーザーにとって有益かどうか」というところを最重要課題としているため、それに違反するホームページを排除するために日々検索エンジンの改良を行っています。
その方針は今後も変わらないでしょう。
いつペナルティを受けるかもわからないブラックハットを行い、Googleと戦い続けて無駄に体力を消耗するのではなく、Googleとの共存を考え、ユーザーの利益を見据えたホワイトハット(ガイドラインに沿った)なSEOを行いましょう。